経営理念・事業計画書なら この経営コンサルタント
経営理念について
監修:有限会社グローバランス
1.経営理念とは
(1) 一般的な定義
経営理念とは、経営者が企業の運営にあたって、経営の目的を明確化し、その目的を実現するために、その組織 が
共有すべき価値観(モノの考え方)を明文化(文章化)したものである。
経営理念とは、経営層が持つ経営哲学や世界観等をまとめたもので、企業経営や組織の基本像(原点)を示すもの
です。企業理念とほぼ同じ意味で用いられます。
経営理念とは、経営者が企業経営に対してもつ基本的な価値観、態度、信条のことである。
これは、「自社は何のために経営するのか」を社内外に表わすものであり企業として社会的責任を遂行するための基
礎となるものである。したがって、経営理念は経営者自身の価値観や経営思想に基づき、さらに社会から受け入れら れ、社員の行動基準とならなければならない。そして経営者はこの経営理念を守り、経営を正しい方向に導く努力を しなければならない。経営計画の策定は自社の将来のあるべき姿を設定するものであるから、経営理念を明らかに し、「何のために経営するのか」を明文化する。そして、これを事業と結びつけて、事業の運営方針まで定める。これ が「経営方針」であり、経営理念をもとに「自社がどのように事業を運営していくか」を示したものである。
(出典:http://j-net21.jasmec.go.jp/venture/startup/know_how04.html)
(2)社是・社訓とは
「社訓」とは「その会社で働く社員の指針として定めた理念や心構え(広辞苑)」、「その会社で社員が守るべき方針
として決めてあるもの(新明解国語辞典)」である。
ダイヤモンド誌(2002年9月21日号と2003年1月18日号)は社是・社訓を次のように解説している。
「社是・社訓は企業の憲法である。顧客や社会との信頼関係を作り、企業の顔を明確にすることこそ新たな成長が可
能になる。社是・社訓は企業の顔を定めたものである。経営の重要な判断のよりどころであると同時に、人材育成の 点で非常に重要な意味を持つものである。」
(3)社是・社訓との関係
@経営理念は社是・社訓に述べられている。経営理念は、綱領や社是・社訓といった形で表すこともある。
A経営理念とは経営者が企業を経営するに当たっての考え方や愛情を示したものです。似たような言葉で「社是、
社訓」というものもありますが、これらは「経営者の経営姿勢」を表したもので、その企業の社員やスタッフが心のより どころにするものです。(出典:株式会社インタースコープ(代表取締役社長 山川義介)HP)
2.経営理念の位置づけ
(1) 経営戦略との関係
全体の位置づけ
自社がどのような事業分野でどのような活動を行って企業目的を実現するのかをビジネスモデルといいます。ビジネ
スモデルを策定することが経営戦略であるといえます。
経営戦略(ビジネスモデル)を策定するには,まず経営理念により自社の存在意義を確認する必要があります。
それを実現するために自社の活動分野である事業ドメインを決定します。
事業ドメインを検討するには,自社の置かれた外部環境や内部環境(経営資源)を正しく認識することが必要です。
その分析の方法にSWOT分析があります。その強みをコア・コンピタンスとして確立し,弱みの分野はそれをコア・コ ンピタンスとして持つ他社にアウトソーシングするような戦略も必要です。
また,自社の方向付けをするには,その分野で優れた企業の方法(それをベストプラクティスといいます)を検討し
て,それを参考あるいは模倣することが,成功への近道です。しかし,企業の経営レベルには成熟度があります。未 だ成熟度の低い企業があまりにも高度なベストプラクティスに一挙に到達するのは困難です。継続的な努力により, 経営の成熟度を向上することが肝要です。
経営理念
経営理念とは,「創造性のある製品を提供して社会に貢献する」とか「お客様は神様」というような企業の存在意義
や経営活動の指針を示したものです。経営理念は企業の憲法であるともいえます。経営理念は創業者により策定さ れることが多いのですが,環境の大きな変化により改訂されることもあります。
経営理念を明確にするのは,次のような目的があるからです。
"自社の存在意義を社外に明確にして,自社の存在を社会的に受け入れられる。
"社員の帰属意識,一体感を高めることができる。
"社員の行動のよりどころになる。
"意見の対立があったときに,判断のよりどころにすることができる。
ですから,社長室の額に掲げるものではありません。全員がこれを認識して行動することにより,この価値観が企
業文化として定着することが重要なのです。
経営戦略はこの経営理念を実現するための手段です。経営理念に反する戦略は,企業の存在意義を失うことにも
なります。
なお経営戦略には,「3年以内に20%の利益増大」とか「3年後に上場」などの具体的な目標が必要ですが,これ
は経営理念ではなく経営目標といいます。
事業ドメイン
事業ドメインは事業領域ともいいます。経営理念に基づき,自社がどのような分野で活動するかを定めたものです。
単純にいえば「誰に,何を,どのように」提供するかを示したものです。
ドメインの設定にあたっては,ドメインの広さに留意する必要があります。ドメインを広く定義すると,経営活動が分
散してしまい方向がまとまらなくなる危険があります。逆に狭く定義すると,活動が限定されて企業の成長が妨げら れる危険があります。
レビットは1960年に『マーケティング・マイオピア』を発表しました。米国の鉄道会社の多くは,自社を「鉄道屋」と規
定し,ハリウッド映画会社の多くは自社を「映画会社」であると規定していました。それでハイウェイやテレビの進出に 無関心であり没落してしまいました。これを近視眼的マーケティングといいます。それに対して,鉄道屋ではなく「移 動産業」であり,映画会社ではなく「娯楽提供産業」であるとドメイン設定していれば,新たな時代に対応した戦略を 発見できたはずだというのです。このように,ドメインの設定は非常に重要なのです。
(出典:http://www.kogures.com/hitoshi/webtext/kj4-keiei-senryaku1/)
(2) 中期経営計画との関係
中期経営計画の作成
ステップ1 経営計画の作成準備
まず、経営計画作成のための委員会を発足させる。社員にとって、お仕着せの経営計画にならないために、社長
が一人でつくるのではなく、社長が委員長、各部門の代表が委員として、社員の総意を反映させることを私はお勧め している。
経営計画の作成期間は、6か月程度とする。環境変化が速い今日では、あまり時間をかけすぎると経営計画が陳
腐化してしまう場合があるからだ。また、中期経営計画の期間は、3年をめどとする。
なお、自社で初めて経営計画を作成するため、進め方等で要領を得ない場合には、外部の専門コンサルタントの指
導を仰ぎ、経営計画の作成要領をつかむとよい。
ステップ2 経営理念の明示
経営計画は、経営理念から始まる。経営理念とは、何のために企業経営をしているのか、企業の存在目的を明確
にすることである。人にもそれぞれ価値観があるように、経営理念は企業の価値観であり、企業を経営していく場合 の行動指針となる。
経営理念としては、例えば、「良い製品を社会に送り出し、自社製品を通じて地域社会に貢献する」といったことが
あげられる。企業経営している限りは、何らかの経営理念は持っていると考えられるが、それがことばとして具現化し てなかったり、あるいは創業時に作成して、その後メンテナンスしていないということであれば、これを機会にぜひ見 直してほしい。
ステップ3 ビジョン(将来構想)の作成
わが社の将来像をつくる。いわゆる「夢」の部分である。「わが社を将来どのような企業にするか」という考えのもと
に、経営トップの強い思いを入れていく。「○年後株式公開」や「地域ナンバーワン」といったことが考えられる。なお、 できれば「夢」を現実にもっていくために、いつまでには実現させるというように「夢に日付」を入れたいものである。
ステップ4 外部環境の分析
自社の取り巻く環境がどういう状況なのかを分析する。定性的なものと定量的なものがあり、種類が多い。
ポイントとしては、(1)当該業種の現状と将来、(2)消費者の動向、(3)取扱商品の需要動向と消費動向などが考えら
れる。こうした環境の動向を見ることにより、当社にあたえる「脅威」と当社にとっての「機会(チャンス)」を見ていく。
ステップ5 自社能力の分析
自社の力がどれくらいなものか分析する。どんなすばらしい計画でも現在の自社の力ではできないものは、どうしよ
うもない。自社の力を把握しておくことが大切である。そのためには、自社の資源の棚卸しを行い、自社の「強み」と 「改善内容」を明確にしていく。
具体的には、人(社員)、物(商品、店舗、工場)、金(財務状況)、情報などの面を中心に分析する。
ステップ6 経営目標の設定
外部環境の分析、自社能力の分析をもとに、ビジョン実現のための中期(3年程度)の経営目標を作成する。外部
環境や自社能力を分析して目標設定していくことは、環境変化にあった目標設定ができるようにするためであり、ま た自社能力を正しく把握した目標を設定することで、納得性のある目標設定が可能となる。
経営目標としては、売り上げ、経常利益といった定量的な数値目標がわかりやすい。ただ、経営の中で強化あるい
は、取り入れていきたいものがあれば、定性的なものを入れてもかまわない。
ステップ7 経営方針の作成
経営目標を達成するために、事業領域をどうするのか、経営資源(人、物、金等)の枠組みをどうするのかなど、自
社の基本的な取組方針を作成する。目標をゴールとすれば、方針はそのためにとるべき手段・行動の仕方を示すも のである。
ステップ8 全社基本計画の作成
具体的には、3年間の利益計画、投資計画、人員計画、資金計画、新規事業計画などを作成する。中期経営目標
を踏まえた上で作成していく。
ステップ9 部門別計画の作成
ステップ8の全社基本計画をもとに、中期の部門別計画を作成していく。具体的には、3年間について、各部門別
に、例えば営業部門計画、購買部門計画、総務部門計画、製造部門計画等を作成していく。
(出典:http://www.crinet.co.jp/contents/tokushu/report/miyauchi_3.html)
3.経営理念の効果等
お主の会社には、もちろん経営理念があるじゃろう。経営理念は、会社の目的を示したり、企業内の人間が行動を起
こす際の精神的支柱となるものじゃ。
もし、経営理念がないとしたらその会社は危ういといえるのう。
経営理念が組織に浸透していればいるほど、結束力も増し、強い組織ができるのじゃ!
経営者としてこの会社をどのようにしていきたいかという「思い」や「志」を明文化したものが「経営理念」じゃ。そして、
そこに至る走り方が経営方針であり、ゴールが経営目標、その道筋が経営計画といえるのう。
ここでは、経営理念について見ていくぞい。
経営理念
経営理念とは、企業の経営全体を包括する考え方と思想を意味する。つまり、企業内の人間と諸活動全体の精神的
な支柱となるべきもので、それにより、後に続く経営方針・ビジョンや経営計画、従業員の行動指針や行動基準の方 向付けがなされる。ただ、経営理念は長期的な企業活動の哲学として存在することから、抽象度の高い思想として 表現されるのが一般的である。
また、経営理念は、綱領や社是・社訓といった形で表すこともあるが、いずれも次のような、経営者の経営に対する
思い入れや経営姿勢を表したものといえる。
"経営者が会社をどう育てようとしているか。
"経営者自身を含めて全従業員がどのような心構えで仕事に従事するのか。
経営理念の内容
1. 経営目的を明確にする
この会社の目的は何か、経営者自身何のために経営しているのかを明確にしておかなければならない。順調に業績
を伸ばしている会社や、新たに経営理念を策定した会社には、次のような特徴がある。
"社会に対して何ができるのかを明確にし、積極的に貢献していきたいと考えている経営姿勢。
"従業員や人間の幸福を実現しようとする経営姿勢
"地球環境に優しい経営
"革新や進歩を目指した経営姿勢
2. 経営方法を明確にする
経営理念の実現を目指して、経営者は実際に経営していくわけであるが、その方法にはさまざまなアプローチ方法
がある。その中で自社に適した方法を明確にすることが重要である。
3. 経営の革新の方向を明確にする
経営方針や経営目標、経営戦略は、経営環境によって変化していくが、経営理念は不変なものとして受け継がれて
いく。しかし、経営機能の本質的課題は「革新」である。とくに、現代の激変する環境変化に対応し、会社の維持・存 続、発展を図るためには、理念を作り変えなければならないケースも大いにあり得る。そのようなときには、思い切っ た変革の内容を盛り込んだ理念をつくらなければならない。
________________________________________
経営理念の生み出す効果
1. 一体感
経営理念は、組織の共通の価値を明らかにし、組織と従業員の一体感を高める効果がある。価値の共有による一体
感は、規則や賞罰以上に従業員のモチベーションを高めるものである。
2. やる気を生み出す発火点
経営理念は、会社の社会的役割や責任、会社の目的、共通の価値基準を明確にする。このため従業員は「なぜこ
の仕事をしているのか」「なぜこの仕事が重要なのか」「この仕事は会社のどの部分に位置付けられるのか」など、 自己に与えられている仕事の意味を理解することができる。これにより、社会に対する貢献意欲や自己実現の欲求 が、さらに明確になり、やる気を生み出す発火点になるのである。
3. 会社宣言
会社の経営理念を内外に発表することは、会社の社会的役割や責任、会社の目的、共通の価値基準を宣言するこ
とであり、コーポレート・アイデンティティー(CI:企業イメージの統一)の一部として会社の宣伝効果もある。
4. 会社の憲法
経営理念は会社のルールの基であり、行動規範を示すものである。
(ビジネス道場 http://bizdo.jp/factory/manners/k4/TK4-09.htm より)
4.経営理念の作成
(1) 視点
経営理念
・わかりやすい
(・普遍性、・永続性)
経営理念とは・・・
社会における企業の責任・目的・使命・経営姿勢などを明らかにしたもので、社内外に対して一貫して主張するも
の。
経営理念作りの4つの視点
@自社の理念の来歴はどうか?
________________________________________
これまでの自社の理念の変遷を検討する。理念、社訓といわれるものがどういう経緯で出来上がって使われてきた
か、あるいは使われなくなってきたか。なんらかの社会的条件とともにその意味するところが変わったか。明文化さ れていないもの、創業者や中興の祖と呼ばれる経営者の言動の中に、経営に大きな影響を及ぼしたキーワードはな いか。
A先進・優良企業の経営理念はどうか?
________________________________________
「あるべき」経営理念の参考にする。ただしミニ版にならないように深入りせず、自社固有の理念のあり方を追求す
る。
B世の中の変化から見て、何に重点を置くか?
________________________________________
社員の意識の変化、顧客の企業に対する期待の変化、株主の構成や利益への関心の変化、社会と企業との関係
j、環境変化など。
(出典 http://www.kentei.com/cac/sien/rinen.html を基に一部修正)
(2) 経営理念の要素と実例
経営理念とは、会社を経営していく上において一番元となる姿勢を示したものということができます。そして、会社が
目指すべき方向を指差するものでもあります。
じっと目を閉じて3年先、5年先、10年先の会社の姿、自分の姿を想像してみたとき、そこに浮かぶ姿が自らが目指
す方向だといえるのではないでしょうか。そして、その目指すべき方向を具体的な形で表したものがビジョンであり経 営理念であると思うのです。
各社によってその中身はまちまちですが、
・創業時の思い
・創業時の目的
・創業以来大切にしていること
・なんのために経営しているか
・どんな会社にしたいのか
・取引先に対する基本姿勢
・地域社会に対する基本姿勢
・社員に対する考え方
などを箇条書きで3ヶ条程度にまとめられているのが一般的です。
各社のいくつか例を示しておきます。
松下電器産業株式会社
産業人タルノ本分ニ徹シ
社会生活ノ改善ト向上ヲ図リ
世界文化ノ進展ニ寄与センコトヲ期ス
東芝株式会社
1.人を大切にします。
東芝グループは、健全な事業活動を通じて、顧客、株主、従業員をはじめ、 すべての人々を大切にします。
2.豊かな価値を創造します。
東芝グループは、E&Eの分野を中心に技術革新をすすめ、豊かな価値を創造します。
3.社会に貢献します。
東芝グループは、より良い地球環境の実現につとめ、良き企業市民として、社会の発展に貢献します。
TDK株式会社
夢・・・・・・ 常に夢をもって前進しよう。
夢のないところに、創造と建設は生まれない。
勇気・・・・ 常に勇気をもって実行しよう。
実行力は矛盾と対決し、それを克服するところから生まれる。
信頼・・・・ 常に信頼を得るよう心掛けよう。
信頼は誠実と奉仕の精神から生まれる。
住友商事株式会社
・健全な事業活動を通じて豊かさと夢を実現する。
・人間尊重を基本とし、信用を重んじ確実を旨とする。
・活力に溢れ、革新を生み出す企業風土を醸成する。
リコー株式会社
●私たちの使命
人と情報のかかわりの中で、世の中の役に立つ新しい価値を生み出し、提供しつづける
●私たちの目標
信頼と魅力の世界企業
●私たちの行動指針
・自ら行動し、自ら作り出す(自主創造)
・相手の立場にたって考え、行動する(お役立ち精神)
・会社の発展と個人の幸福の一致をはかる(人間主体の精神)
キリンビール株式会社
私達は、世界の人々の『健康』・『楽しさ』・『快適さ』に貢献します。
京阪電気鉄道株式会社
京阪グループは、人の暮らしに夢と希望と信頼のネットワークを築いて、快適な生活環境を創造し、社会に貢献し
ます。
(出典:http://www.sb-clinic.com/info/info020731.htm)
(3) 経営理念作成上の注意点
(1)経営の基本−やっぱり経営理念
経営の基本とは何でしょうか?
経営学の本を見るといろいろ書いてありますが、やはり最初に出てくる『経営理念』。これが、基本中の基本ではな
いでしょうか。今さらと思うのですが、最近は、どうもあたり前ではないようです。経営理念とは、なぜ起業したのか、 なぜ経営するのか、どう社会に貢献したいか、どういう会社にしたいかなど、企業の目的、経営姿勢の根本です。し かし、最近の企業では経営理念が言葉だけで終わってしまっている例が多いように見受けられます。
金儲けのためにビジネスモデルを考え、起業するというのは典型的な例です。何をすれば儲かるかが、全ての前提
条件になります。儲けることが企業理念です。事業がうまく行っているうちは良いのですが、一度つまずくと、次々と 儲け話に手を出し、・・・。バブルの時期には、どの企業も同じような儲け話に走り、失敗しました。本業が大切だとい う言い方もされましたが、もっと言うと経営理念が大切だということです。経営理念なしに事業が行き詰まると糸の切 れた凧になってしまいます。現在、この不況の中で堅実に実績を残している企業は、バブルに遭遇しても自分自身を 見失わずに努力してきた企業です。
経営を目的とした経営、金儲けのための経営、技術を生かすための経営・・・。社長になりたい、経営者になりたい
というのは、目的ではなく目的実現のための手段です。いまなら儲かるからと起業し、儲からなくなったら、どうするの でしょうか。差別化できる技術は、事業化はできるかもしれませんが、技術を事業にするのが目的だとしたら技術が 陳腐化したときどうするのでしょうか。経営理念の大切さを感じます。
しかし、経営理念だけでは、企業として成り立ちません。経営理念は企業の根本にある抽象的な要素です。それを
具体化して初めて企業が出来上がります。
(2)経営の基本−でも、経営理念は売れません
企業にとって経営理念は普遍的な目的であり、原点です。これがはっきりしていないようでは、一発屋で終わってし
まいます。しかし、顧客は、経営理念を買うわけではありません。ここが難しいところです。
我が社の経営理念はこんなにも素晴らしい。これは、顧客に知ってもらわないといけない。理念を共有してもらえれ
ば買ってもらえるはずだ。理想的には、こうあるべきでしょうが、今の世の中、ここまで成熟してはいません。同じ性能 の商品が並んでいた場合、経営理念の良し悪しではなく価格の安いほうが売れる世の中です。
ですから、経営理念は、商品の中に差別化の要素として組み込まなければなりません。それも分かりやすくです。
地球環境を守ると言うような経営理念の場合、工場のゼロエミッションやISO認証取得では、顧客にアピールするこ とはできません。その商品そのものに理念を組み込む必要があります。自動車であれば、燃費を向上させたり、排ガ スをクリーンにしたり、リサイクル率を高めたりするなどです。商品に反映させた経営理念は、顧客にメリットやステー タスを感じさせるようなものでなくてはなりません。
そして、忘れてはいけないのは、経営理念はあくまでも差別化の要素として商品に組み込むのであって、それだけ
では売れないと言うことです。デザインが良く、性能がよく、使いやすくて、価格も手ごろ、さらに環境にやさしければ 自動車は売れますが、環境への優しさを最優先にした企業経営をしているといわれても、そのような漠然とした企業 理念へはお金の出しようがありません。
経営理念は、商品開発において基本的な部分を押さえた上で、差別化要素として利用することによって、最大のメ
リットをもたらします。
(出典:http://www.locoshops.com/loco/db/loco005.htm)
参考:外国との比較等
第2節 経営理念
1. 経営理念
経営理念とは:企業の目的、社会的責任、あるいは到達すべき理想についての経営者の信念、確信、姿勢等を社
会に対して表明したもの。経営者や従業員が企業経営に関する活動を行う場合に拠り所となる。
広義:理想的状況=経営理念。これに到達しようとするとき、経営理念は企業目的(またはその一部)となる。
狭義:企業目的達成の際に遵守すべき規則、倫理、責任、義務等を表したもので、企業目的そのものではなく、経
営者と従業員を動機づけるためのもの、という考え方。
経営理念:経営理念は観念、主観的なものにすぎないという見方もあるが、重要である。意識や思想は経済や経
営の社会的なあり方に大きな影響を与える。(例:軍国主義、ナチイズム、マルキシズムと社会主義経済)
経営理念は社是・社訓に述べられている。社是・社訓では企業目的と経営理念が一体化して述べられていること
が多い。企業目的や経営理念に関しては歴史的背景や文化的特色が強く作用している。
2.現代の経営理念:日本企業と外国企業の比較
(1)社是・社訓はCIの集中的表現である。
CI(コーポレート・アイデンティティ):企業が自分の存在意義を自問自答することより始まる。社是・社訓はCIの大本
である。
外国企業の社是・社訓への関心の急増:
@ 外国で事業を展開する場合に意思決定の基本的準拠枠が必要。
A 日本企業の本社の社是・社訓と海外事業所の社是・社訓の調整が必要となっていきている。
B 合併や提携先の外国企業の思想の根本を熟知する必要がある。
C 世界の競争相手の強み、弱み、意思決定のパターン、発想の根元を知る必要がある。
D 企業市民として活動する場合に、地元企業の考え方の基本を知る必要がある。
日本企業の社是・社訓にも最近は国際色が出てきた。
(2)外国企業:ミッション・ステートメント(企業の使命を記述したもの)をよく用いる。ミッション・ステートメントを有する
米英企業は、50〜60%。外国企業は企業の使命の明確化に力をいれている。
a.理由:@企業文化の重視し、企業文化の一環としての社是・社訓に着眼している。
A中間管理者も所属する組織の価値観の明確化を要求するようになった。
B利害関係者集団のグッド・ウイル(Good Will)を他の組織と競争しながら、手にいれるためには、内なるCIとして
の使命の明確化が必要となってきた。
b.ミッションの中核:@目的;企業の存在理由、誰のために企業努力を投入するのか。A戦略;事業の性質、他社
との比較優位性の根源はなにか。B価値;信念、道徳率、倫理観。C行動基準;行動の規範や規則。
日本企業の社是・社訓はこの4つの内容を基本に考えると、中途半端で、断片的である。
(3)外国企業と日本企業の社是・社訓の比較:
a.外国企業:短文、一語、長文等、多種多様であるが、異民族の中で経営するために、契約書、文書等で自己主
張をする必要があり、長文のものが多い。組織成員がよく変わるので、全てを細かく成文化しておく必要がある。比 較的現実的な企業哲学なり、ビジョンを相当緻密に描いている。
日本企業:短文のものが多い。日本は以心伝心、黙示のコミュニケーションの国。日本企業では長期雇用だか
ら、同じ人が企業の中に長くいるので、いちいち言葉で細かく、具体的にいわなくても良い。社是・社訓も「誠実」「奉 仕」「貢献」「共存」というような言葉だけが浮き上がっていることが多い。
b.日本企業の社是・社訓の内容(書かれていること)の特徴:
現代日本企業の経営理念の特徴:次のような理念が強調されている。
@経営家族主義や和・協力の強調
企業内、企業間、政府−企業間での協力の重視。聖徳太子「和を以て貴しとなす」という言葉が、歴史を超えて今
日でも響いている。日本の「和」はしばしば個人を殺す。「和」のために個人の利益が第2にされる。
欧米では「和」よりも「個人の尊重」が重視されている。典型はIBMである。欧米企業のミッション・ステートメントに
も「チーム」「チームワーク」という言葉が良く出てくるが、意味が違う。欧米の「チームワークは」は専門家としての機 能的協力を意味している。日本の「チームワーク」は個人の意思や欲望を圧殺して、チームに貢献することとか、全員 で一丸となってやる、同じ行動をとる、というニュアンスが強い。人間関係や精神を意味することが多い。
A国家や社会への奉仕、貢献の強調(松下電器、武田薬品、三菱商事)
社会といっても、米国でいう地域社会という意味は希薄である。国際的に活躍している日本企業でも、明治維新〜
軍国主義時代の「報国」という考え方が社是・社訓に残っている。(もちろん「報国」の意味を読み代えている。)
B技術の向上、工夫・研究の向上(資源の希少性、技術、加工貿易による発展)
C努力・責任や創造精神の強調
D信頼、信用の獲得の強調
E海外活動、国際的視野の強調
c.外国企業:キリスト教、ヒューマニズム、資本主義といった理念を反映している。キリスト教;富の分配、貧者へ
の施し(キリスト教的ヒューマニズム)、神に個人として向き合う。資本主義;利潤重視、ステークホールダーへの利 益配分。欧米企業ではProfit, Quality, Team, Stakeholder, Environment, Global等の単語が頻出する。
日本企業:仏教、漢字、天皇制、旧軍隊の規律等を反映している。
d.外国企業:CI、望ましいビジョン、公共への配慮、ステーク・ホールダーへの配慮等を多く、打ち出している。
ステークホールダーへの配慮:
@株主;欧米の企業のミッション・ステートメントには、「株主」について記述したものが多い。株主の利益を重視し
ている。日本企業は少ない。
A地域社会への言及
B「情報公開」;3Mが触れている。日本企業には情報公開について言及している企業はない。
e.利潤(Profit):
欧米企業;ステークホールダーのために利潤を獲得すべきである、という考え方が強い。ドラッカー;「利潤は、企業
が社会に貢献した、いわば尺度である。」従業員に給料を払い、革新を行い、税金を支払うための原資としての利潤 である。
日本企業;利潤ということを表に出すことが、何か後ろめたいという感覚がある。
f.その他環境:
欧米企業には言及している企業があるが、日本企業には極めて少ない。
(4) 社是・社訓の管理(Mission Statement Management):環境変化、会社の事業の変化、経営者の変更等に伴
って、社是・社訓の改訂が必要である。
欧米企業;10年毎ぐらいに改訂されている。改訂をどのくらいの頻度で、どの時点でするかを非常に大切にしてい
る。Johnson & Johnson社;世界中の幹部を集めて、定期的に「Creed Challenging Meeting」を開催し、自社のミッ ション・ステートメントの理解の仕方、どのように経営に活かすか、改訂が必要かを議論している。
日本企業;創業以来変更していないという企業もある。長期的に変えない企業が多い。日本では創業者のつくっも
のを変えることは難しい。
(出典:http://www.tku.ac.jp/~ktakeuti/Mgt6Resp.htm)
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